歯列矯正を始めると「1ヶ月でどのくらいの歯の動きが見られるんだろう？」「歯が動いていないように感じるけど大丈夫かな？」と、歯の変化について疑問に思う方もいるかもしれません。

歯に動きが見られると「キレイになってきた！」と実感でき、モチベーションにもつながります。

今回の記事では、1ヶ月でどれくらい歯が動くのか、効果を感じられるタイミングや歯が動きやすい人の特徴などについて解説します。

1ヶ月でどのくらい歯が動くのか、歯列矯正の効果を実感できるタイミングについて見ていきます。

まずは、歯列矯正によって歯が動く仕組みについて確認していきましょう。

歯の周りには、歯を支える「歯槽骨」（しそうこつ）と歯槽骨と歯の根っこの間にある「歯根膜」（しこんまく）などの組織が存在しています。

歯列矯正でワイヤーやマウスピースなどの矯正装置を使い、歯に力をかけると、その力は歯根膜に伝わり、動かしたい方向側の歯根膜は縮み、反対側は伸びます。

歯根膜には一定の厚さを保とうとする性質があるため、縮んだほうの歯根膜は、歯槽骨を溶かして元の厚さに戻ろうとするのです。

反対に、伸びた方の歯根膜は新たに骨を作ることで、元の厚さに戻ります。

つまり、歯根膜が縮んだり伸びたりすることで、歯槽骨の吸収と再生が繰り返され、歯が動くというわけです。

一般的に、1ヶ月に歯が動く距離は0.3～1mm程度です。

「もっと早く歯を動かすことはできないの？」と思う方もいるかもしれません。

早く歯を動かそうと強い力をかけると、骨の吸収と再生が正常に行われなくなる可能性があり、歯茎が下がったり、やせたように感じたりするリスクがあります。

正しい力で歯へ力をかけなければ歯や歯茎、歯を支える骨にダメージが加わるおそれがあるため、歯に負担をかけないように適切な力で動かす必要があるのです。

歯列矯正によって歯が動いたと実感するのは、治療開始3ヶ月後くらいでしょう。

特に口内全部の歯を動かす「全体（矯正）」では、奥歯から順番に動かすケースが多く、最初のほうには前歯にあまり変化が見られないこともあります。

歯に負担がかからないようにゆっくり歯を動かす必要があるため、歯列矯正は治療期間が長くなる傾向があります。

「早くキレイな歯並びになりたい！」と思う人も多いでしょう。

歯が動きやすい人の特徴として、以下の5つがあります。

・虫歯や歯周病などのトラブルがない

・歯並びの乱れが軽度

・新陳代謝が活発な人

・口まわりの癖がない人

・歯列矯正のルールが守れる人

それぞれ詳しく解説していきます。

虫歯や歯周病などで歯や歯の周辺組織が弱っていると、歯が動きにくくなることがあります。

また、矯正治療中に虫歯や歯周病などが見つかると、進行度によっては一時的に矯正治療を中断し、歯や歯茎の治療を優先させることもあります。

結果として、治療期間が延びてしまうというリスクも考えられるでしょう。

歯並びの乱れが軽度な場合、重度な症状の方に比べて歯を動かす距離が短いため、治療が早く終わる可能性が高いでしょう。

反対に抜歯をしてから歯を並べるようなケースでは、隙間を埋めるために大きく歯を動かしたり、動かす歯の本数も多かったりするため、治療期間は長くなりやすいです。

歯列矯正は、歯槽骨の吸収と再生を利用して歯を動かす治療です。

そのため、新陳代謝が活発な方は、比較的歯が動きやすいでしょう。

代謝を上げるためには、栄養バランスのよい食事をとる、十分な睡眠時間を確保するなど、規則正しい生活を心がける必要があります。

舌で歯を前に押し出す、唇をかむ、歯ぎしりといった癖がない人は、歯がスムーズに動きやすいです。

舌や唇の不要な力が歯に伝わると、歯の動きが邪魔され、正しく矯正力が伝わらなくなるケースがあります。

歯列矯正のルールや歯科医師からの指示がきちんと守れる人は、歯が動きやすいでしょう。

歯列矯正にはいくつかルールがあり、それらはすべて治療を円滑に進めるためのものです。

装置をケアしたり、通院頻度を守ったりしていないと、トラブルの発見が遅れたり歯が元の位置に戻ったりと、さまざまなリスクがあります。

治療開始前にルールをきちんと確認した上で、通院がどうしてもできないなどのトラブルがあったときは、早めに歯科医師に相談するようにしましょう。

矯正歯科治療には大きく分けて「ワイヤー矯正」「マウスピース矯正」の2種類があり、矯正方法によっても治療期間にばらつきがあります。

また、どちらの矯正装置も何本の歯を動かすか（治療範囲）によって大きく治療期間が変わります。

前歯などの一部分を治療範囲とした「部分矯正」と、口内すべての歯を動かす「全体（全顎）矯正」とに分けられ、治療本数が少ないほうが一般的に治療期間は短めです。

矯正装置別の治療期間の目安を確認していきましょう。

ワイヤー矯正とは、ブラケットと呼ばれる器具を歯の表面に接着し、そこへワイヤーを通して歯を動かす矯正方法です。

ワイヤー矯正は古くから行われている矯正歯科治療で、対応できる症例の幅が広いことが特徴です。

ワイヤー矯正の中でも、装置を付ける位置によって種類が分かれます。

歯の表側に装置を付けることを「表側矯正」、歯の裏側（舌側）に装置を取り付けることを「裏側矯正」と呼びます。

どちらも歯を動かす仕組みは変わりませんが、ワイヤー表側矯正のデメリットである目立ちやすさを解消できるのが裏側矯正です。

ワイヤー表側矯正の治療期間は全体矯正の場合で1〜3年程度、部分矯正は3～12ヶ月程度です。

表側矯正は装置が目立ちやすいというデメリットはありますが、裏側矯正に比べて費用は抑えやすいでしょう。

裏側矯正の治療期間は、全体矯正の場合で1年半～3年程度、部分矯正だと3ヶ月〜1年半程度といわれています。

歯の裏側は複雑な形をしているため、既成のブラケットではなく、型取りをして患者様一人ひとりの形に合ったブラケットを製作します。

そのため、装置の製作に時間がかかりやすく、表側矯正に比べて治療期間が長くなりやすいのです。

また、調整の難易度が高く、ワイヤーの調整にかかるステップが表側矯正よりも増えることも治療期間が長くなりやすい要因となっています。

裏側矯正は前から見ても装置がほぼ見えないため、矯正治療をしていることを知られたくない人におすすめです。

装置が舌に触れやすい位置にあるので、慣れるまでは舌が触れる違和感があったり、発音しにくいと感じたりすることもあるでしょう。

汚れも目視で確認しづらいので、歯磨きがやや困難になります。

マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを使って歯を動かす治療方法です。

ワイヤー矯正と大きく違うのは、装置の着脱ができる点です。

食事と歯磨きの際、マウスピースは外せるので、お口の健康状態を保ちやすいでしょう。

マウスピース矯正の場合、治療期間は全体矯正だと6～15ヶ月程度、部分矯正は3～9ヶ月程度です。

マウスピース矯正は装置が目立ちにくく、装置が自由に着脱できるというメリットがあるものの、マウスピースの装着時間が不足すると計画どおりに歯が動かず、治療期間が延びてしまうリスクもあります。

また、マウスピースブランドによっては部分矯正にしか対応していないブランドもあり、一言に部分矯正といっても、治療できる本数はブランドによって異なります。

事前に何本の歯が治療対象となるか、確認しておくことが大切です。

マウスピース矯正は、対応できる症例がワイヤー矯正に比べて限られています。

歯並びによっては、マウスピース矯正が適用されないケースもあるので、初回カウンセリングなどでどのような矯正方法が向いているのか相談してみましょう。

ちなみに、マウスピースブランドの「ゼニュム」では、部分矯正と全体矯正どちらにも対応できるよう3つのプランをご用意しています。

各プランの治療期間は以下のとおりです。

また、万が一治療が計画どおりに進まず追加のマウスピースが必要となった場合、マウスピースの費用は全額ゼニュムが負担します。（※諸条件あり）

治療の進み具合によって費用が高くなる心配がないので、安心して治療に臨めるでしょう。

ゼニュムでは、無料オンライン診断を実施しています。

お客様の歯のお悩みや歯のお写真をお送りいただくことで、マウスピース矯正に適合するのか、適合となった場合のプランや治療期間などをお伝えいたします。

入力は数分程度で完了するので「私の歯並びはマウスピース矯正でよくなるのかな？」と疑問をお持ちの方はぜひご相談ください。

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最後に、マウスピース矯正をはじめとした歯列矯正を長引かせないためのポイントをご紹介します。

ワイヤーやマウスピースなどの動きを妨げるような口まわりの癖がある方は、歯科医師と相談して癖を改善したり、対処法を考えておいたりしたほうがよいでしょう。

主に以下のような癖に注意が必要です。

・爪をかむ

・唇をかむ

・舌で前歯を押す

・口呼吸

・頬杖をつく　など

仮に歯列矯正で歯がキレイに並んでも、これらの癖が治っていないと、装置を外した後に再び歯並びが乱れてしまう可能性もあります。

虫歯や歯周病になると、歯が動きにくくなるリスクや、矯正治療を一時中断しなくてはならないケースもあります。

そのため、矯正治療中は、毎日の丁寧なブラッシングを心がけましょう。

マウスピース矯正の場合、歯と同様にマウスピースに汚れがたまることでも、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

汚れたままのマウスピースは細菌が繁殖しやすく、それを歯に装着することで細菌が口内に移るためです。

最低でも一日の終わりには、マウスピースを歯ブラシなどで優しく磨いて、汚れを落とすようにしましょう。

矯正治療中、疑問や不安に思うことは、自己判断せずに歯科医師に相談してください。

間違った装置の使い方をしたり、歯にトラブルが起こっているのにそのまま放置したりしてしまうと、さまざまなトラブルにつながるおそれがあるためです。

「マウスピースが壊れた」「マウスピースが合わない」「歯並びが元に戻っている気がする」などと感じた場合は、担当の歯科医師に相談してください。

次の通院がまだ先ですぐに相談できない場合、ゼニュムでは専用アプリのチャットやLINEなどから、いつでも問い合わせが可能です。

歯科医師から指示された内容をきちんと守ることも、治療を長引かせないための大切なポイントです。

特にマウスピース矯正の場合、装置の管理はすべて患者様で行っていただくため、マウスピースの取り扱いをきちんとできるかによって、治療結果が変わることもあるのです。

・マウスピースの装着方法

・装着時間

・交換時期

・通院頻度

・マウスピースのケア

など、指示されたことは必ず守るようにしましょう。

一般的に、1ヶ月に歯が動く距離は0.3～1mm程度です。

早く歯を動かそうと、強い力をかけると痛みを感じたり、歯茎や骨に負担がかかりやすくなったりするため、ゆっくり動かす必要があります。

歯が動くスピードを早めることはできないものの、治療を長引かせないためにできることはあります。

治療期間には個人差があるため、具体的な治療期間が知りたい方は、一度歯科医院で相談してみましょう。

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