「矯正中は食べられるものが限られる?」「外食に行っても大丈夫なの?」
矯正治療を始めたことで、これまでどおりに食事ができないかもしれないことに不安を感じる人は少なくありません。
矯正中でもポイントを押さえれば、食事が楽しめる可能性があります。
今回の記事では、矯正中のおすすめ食材や調理法、おすすめの矯正方法などについて解説していきます。
矯正中は食事がしにくいって本当?
まずは、矯正中に食事がしづらいと感じる理由や、矯正装置による食事のしづらさの違いについて解説していきます。
矯正中に食事がしづらい理由
「矯正中は、好きなものが食べられない」「よくかめない」などという声を耳にしたことがある人もいるかもしれません。
矯正中にこのようなストレスを感じる理由を見ていきましょう。
装置に食べ物が挟まるから
ワイヤーとブラケットを歯の表面に付ける「ワイヤー矯正」の場合、基本的に矯正装置は24時間付けっぱなしです。
矯正装置と歯の間などに食べ物が挟まりやすいので、外食時など人目を気にしながらの食事では「食べ物が挟まっていないかな…」「どのタイミングで汚れを取るべき?」と、他人の目が気になって食事に集中できないと感じる人もいます。
特に繊維質の食べ物や麺類などが矯正装置に絡まりやすいので、食べられるものが限られたり、お店選びに気を付けなくてはいけなかったりすることもあるでしょう。
かむことで歯に痛みが生じやすいから
矯正治療を始めたばかりの頃や、ワイヤーを調整後またはマウスピース交換直後は、歯に強い力がかかっているため、食事のときに歯をかみ合わせるだけでも痛みを感じることがあります。
特に硬い食べ物や、弾力のある食べ物は痛みを感じやすいです。
ただし、このような痛みは2~3日程度で落ち着くことが多いので、矯正中はずっと柔らかい食べ物しか食べられないというケースは少ないでしょう。
また、ワイヤー矯正では装置に凹凸があるため、口内を傷つけやすいです。
食事の際に、装置が口の中でこすれて、傷や口内炎ができることもあります。
このような場合は、矯正用ワックスでとがっている部分を保護したり、歯科医院で調整してもらったりしましょう。
歯が動いている段階でかみ合わせに変化が出ることがあるから
矯正装置によって歯を動かすと、かみ合わせも変化することがあります。
かみ合わせは治療の最終段階でしっかりかみ合うように調整を行いますが、治療途中では正しくかみ合わない時期が発生することがあります。
かみ合わせが悪いと、一部の歯だけかみ合わせが深いと感じたり、しっかりかみ締められなかったりするため、食事がしづらいと思う原因になるのです。
装置によっては、外して食事ができるものもある
マウスピース矯正は、食事の際には装置を取り外すことができます。
そのため、ワイヤー矯正のように食べ物が装置に挟まったり、装置の凹凸が口内を傷つけたりする心配がありません。
また、マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べると弱い力で段階的に歯を動かしていきます。
歯が動いているときの痛みも抑えやすいため、我慢できないほどの痛みで食事ができないという可能性も少ないでしょう。
「矯正中の食事の痛みが心配…」「外食が多いから矯正治療を始めることを躊躇している」などのお悩みがある方は、マウスピース矯正であれば、食事の際のストレスを感じにくく矯正治療ができるかもしれません。
ただし、ワイヤー矯正とマウスピース矯正では、対応できる症例の幅が異なります。
歯に大きな力をかけられるワイヤー矯正でないと治療が難しい歯並びもあるので、どちらの方法で治療をするかは歯科医師の診断が必要となります。
矯正中の食事はどうしたらいい?
矯正中は、特に食事制限はありません。
ただし、食べ物によっては装置が壊れやすいものや痛みが出やすいものもあるので、注意が必要です。
次は、矯正中におすすめの食べ物と避けたほうがよい食べ物について解説します。
おすすめの食べ物
矯正中に食品を選ぶときは「柔らかいこと」「矯正装置に挟まりにくいこと」を意識して選ぶとよいでしょう。
具体的には以下のような食べ物がおすすめです。
・おかゆ
・スープ、お味噌汁
・豆腐料理
・煮物
・柔らかく煮込んだ麺料理
・スムージー
・キウイ、バナナ、桃
・ヨーグルト、プリン、ゼリー
おすすめの調理法
矯正中は、一口では食べられないような大きな食材や、硬い食べ物を食べようとすると痛みが出ることがあります。
しかし、調理方法を工夫することで食べられる食材の幅も広がります。
歯列矯正中のおすすめの調理法は次のとおりです。
・煮込む
・蒸す
・すりおろす
・細かく刻む
・ミキサーでペースト、ソース、ジュースなどにする
煮込んだり蒸したりすることで、生では硬くて食べられないような食材でも、痛みを抑えながら食べることができるでしょう。
煮込み・蒸し料理でも痛みが出るときは、すりおろしたりミキサーでペースト状にしたりすると、さらに歯に刺激が伝わりづらくなります。
メイン食材である肉や魚などを食べる際は、細かく刻んで食べるほか、お肉はひき肉を選ぶことでも食べやすくなるでしょう。
矯正中の栄養バランスを保つためのコツ
矯正中は、食べられるものが限られるため、どうしても栄養が偏りがちになります。
矯正中でもできる限り3食とることを心がけましょう。
・主食(ご飯や麺など)
・主菜(魚・肉・大豆製品など)
・副菜(野菜・海藻・きのこなど)
以上の3つを組み込んだ献立にすると、必要な栄養素をバランスよくとれます。
また、矯正期間中に特にとりたい栄養素の一つにカルシウムがあります。
歯列矯正では、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)の吸収と形成の仕組みを利用して歯を動かしています。
よって、歯をスムーズに動かすためには、骨の形成に必要なカルシウムが欠かせないのです。
カルシウムが多く含まれる食べ物は以下のとおりです。
・乳製品(チーズ、牛乳など)
・大豆製品
・海藻類
・骨ごと食べられる小魚(いわし、しらす、ししゃもなど)
避けたほうがよい食べ物
一方で、次のような食べ物は避けたほうがよいでしょう。
・痛みが出やすい食べ物
・装置の破損につながりやすい食べ物
・装置の着色が起こりやすい食べ物
具体的な食べ物の例を解説していきます。
痛みが出やすい食べ物
矯正方法に関わらず痛みがあるときは、硬い食べ物や前歯でかみちぎる必要のある食べ物を食べると、刺激になり痛みを感じることがあります。
以下の食べ物は避けたほうがよいでしょう。
・おせんべい
・ナッツ
・柔らかく調理していない根菜類
・りんご
・フランスパン
・骨付き肉
装置の破損につながりやすい食べ物
ワイヤー矯正は、食事の際も装置が付いたままです。
そのため、上で挙げたような硬い食べ物を食べることで、装置が壊れるおそれもあります。
また、粘着性のあるガムやソフトキャンディ、キャラメルなども装置に絡まりやすく、無理やり取ろうとするとワイヤーが外れるなどのトラブルにつながりやすいので注意が必要です。
装置の着色が起こりやすい食べ物
ワイヤー矯正の場合、装置の着色にも気を付けましょう。
ワイヤー矯正で着色が起こりやすいのは、プラスチックブラケットやゴムなどを使用している場合です。
金属製のワイヤーやブラケットを使用している場合は、着色はほとんど起こりません。
気を付けたい食べ物は以下のとおりです。
・カレー
・ミートソース
・コーヒー
・紅茶
・赤ワイン
・ブルーベリー など
着色しやすいというだけなので、口にするのはかまいません。
ただし、着色しやすい食べ物を口にした後は、なるべく早く歯磨きをして汚れを落としましょう。
マウスピース矯正治療中の食事で注意したいこと
マウスピース矯正は、食事の際はマウスピースを外せるためワイヤー矯正のように食事に関するストレスを感じづらいでしょう。
ただし、使用方法によっては、マウスピースが壊れたり虫歯のリスクを高めたりするおそれもあります。
次は、マウスピース矯正中に食事をするときに気を付けたいポイントを解説します。
食事の際は、マウスピースを必ず外す
食事をするときは、忘れずにマウスピースを外しましょう。
マウスピースをしたまま食事をとると、マウスピースと歯の間に食べかすが入って虫歯や歯周病の原因となることがあります。
また、マウスピースを付けたままの食事は、マウスピースの破損や変形につながりかねません。
マウスピースが破損・変形すると歯に正しい矯正力が伝わらなくなり、新しいマウスピースを作り直さなければいけなくなることもあります。
結果として、治療期間が延びたり再製作費用が余分にかかったりするケースもあるでしょう。
マウスピースを付けたまま飲めるのは水だけ
食べ物だけでなく、飲み物にも気を付ける必要があります。
マウスピースを装着したまま飲めるのは、水と無糖炭酸です。
ジュースなどの甘い飲み物は虫歯のリスクを高め、コーヒーや紅茶などはマウスピースと歯の着色の原因となるおそれがあります。
また、40℃以上の飲み物もマウスピースが変形する可能性があるので、注意が必要です。
マウスピースを外せないようなシーンでは、装着したまま飲み物を飲んでしまうこともあるかもしれません。
そのときは、歯磨きやうがいなどで汚れを落としてから、再度マウスピースを装着してください。
食後はマウスピースの付け忘れが起こりやすい
マウスピースはブランドごとに、一日の推奨装着時間が定められています。
装着時間が足りないと、治療期間が延びてしまう可能性があります。
特に、食事や飲食の際にこまめに取り外していると、装着時間が短くなりやすいですし、うっかり付け忘れることも増えやすいです。
決められた装着時間が足りているか、付け忘れはないか、意識して過ごすようにするとよいでしょう。
マウスピースは口内をキレイにしてから装着する
マウスピースを外して食事をしても、歯磨きをしないままマウスピースを装着してしまうと、歯とマウスピースの間で細菌が繁殖して虫歯や歯周病を引き起こしやすくなります。
歯磨きやうがいをして口内をキレイにしてから、マウスピースを再装着してください。外食先のトイレでも気軽にケアできるように、マウスウォッシュなど持ち歩いておくと安心でしょう。
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矯正中の食事に関するさまざまな疑問を解決
最後に、矯正中の食事に関してよく挙がる質問とその回答をご紹介します。
Q食事のときの痛みはいつまで続きますか?
食事をかめないほどの痛みは、矯正治療を開始した最初の2~3日で感じる人が多いです。
また、ワイヤー調整後や、新しいマウスピースに交換したときも直後の2~3日は痛みを感じやすいでしょう。
長くても1週間程度で痛みが落ち着きます。
我慢できないほどの痛みが2週間以上続く場合は、歯科医院で相談してください。
Q外食のときに気を付けたほうがいいことはある?
外食の際は、マウスピースをサッと取り外せるように、専用のケースを持ち歩いておくと安心です。
マウスピースをティッシュなどにくるんでカバンにしまうと、ゴミと間違えて捨ててしまったり、カバンの中でほかの荷物の下敷きになったりして、マウスピースが壊れてしまう可能性があります。
食後は、歯磨きをしてからマウスピースを装着するのが理想的ですが、外食の際には難しいことも多いでしょう。
そんなときは、水でゆすぐだけでもある程度の汚れは落とせます。ただし、帰宅後は歯とマウスピースをキレイにケアしてください。
Qご飯を食べていたら矯正装置が壊れた!どうしたらいい?
矯正装置が壊れたときは、速やかに担当の歯科医師へ連絡してください。
壊れたまま放置したり、自分で修理したりすると、計画どおりに歯を動かせなくなるおそれがあります。
破損した部分が口内を傷つけるおそれがあるときは、応急処置として矯正用ワックスで保護するのもよい方法です。
装置の修理は無料で行っている歯科医院もあれば、「◯回まで無料」と回数が定められているところもあり、対応はさまざまです。
気になる方は、修理の費用など事前に確認しておくと安心です。
Q食事をするときに痛み止めを飲んでも大丈夫?
痛みがひどくて食事ができない場合には、痛み止めを飲んでも大丈夫です。
痛みが2週間以上続くときは、歯科医師へ相談することをおすすめします。
ポイントを押さえて矯正中でも食事を楽しみましょう
矯正中は特に食事制限はありませんが、食べ物によっては痛みが出やすい、装置に挟まりやすいなど、食事中にストレスを感じることもあるかもしれません。
その点、マウスピース矯正は食事の際は取り外しができるため、矯正中でも食事を楽しみたいという方におすすめです。
ワイヤー矯正でも、選ぶ食べ物や調理方法によっては、食べられるものの幅が広がります。
注意事項を守りながら、食事を楽しみましょう。