美しい笑顔の指標の一つである「バッカルコリドー」という言葉を聞いたことはありませんか?
バッカルコリドーの大きさによって、笑顔の印象が変わることがあります。
今回の記事では、バッカルコリドーがどのように笑顔の印象を左右するのか、また理想のバッカルコリドーに近づけるためにはどのような治療方法があるのかなどについて解説していきます。
バッカルコリドーとは?
まずは、バッカルコリドーとは何か、また理想の状態について解説します。
バッカルコリドーとは口内にできる影のこと
バッカルコリドーとは、笑ったときにできる歯列と頬の内側の間にできる影のことです。ブラックスペースなどとも呼ばれます。
バッカルコリドーの有無や大きさによって、笑顔の印象が変わるといわれています。
バッカルコリドーがない、あるいは小さめのほうが、笑ったときに奥歯までしっかり見えるため明るく華やかな印象を与えます。
一方で、バッカルコリドーが大きめの人は、口内に影ができることで笑顔がやや控えめに見えたり、かわいらしい印象を与えたりすることがあります。
理想のバッカルコリドーとは
一般的に、バッカルコリドーが小さいほうが笑顔を魅力的に見せるといわれています。
欧米では特に「ハリウッドスマイル」と呼ばれる、歯が隙間なく並び、口角にも影がない歯並びが好まれ、バッカルコリドーを小さくする治療を行う人も多いです。
しかし、どんな笑顔を魅力的に思うかは人それぞれです。
日本では、歯の主張が控えめのほうが美しいと感じる方も多いため、必ずしもバッカルコリドーが大きめだからといって美しくないというわけではありません。
バッカルコリドーが大きくなってしまう原因とは?
日本人は、欧米人に比べてバッカルコリドーが大きくなりやすい傾向があり、悩んでいる方も少なくありません。
バッカルコリドーが大きくなる理由は、以下のようなものが考えられます。
・口の大きさに対して歯列弓が狭い
・歯が小さい
・歯が傾斜している
口の大きさに対して歯列弓が狭い
上の歯の歯列弓の幅が狭いと、バッカルコリドーが大きくなりやすいでしょう。
歯列弓とは歯列のU型のアーチのことで、このアーチの横幅が小さいことを「狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)と呼びます。
狭窄歯列弓は、歯のアーチがV字型に近づくので、バッカルコリドーが目立つだけでなく、歯が並ぶスペースが不足しやすいため出っ歯や叢生(ガタガタな歯並び)などの問題につながるケースもあります。
生まれつき歯列弓の幅が狭い場合もありますが、口呼吸や頬杖をつく癖、舌の癖などで後天的に歯列弓が変化することもあります。
歯が小さい
顎の骨格に対して、歯のサイズが小さい場合もバッカルコリドーが目立ちやすくなります。
歯の形やサイズは遺伝による影響がほとんどです。
歯の形やサイズは歯列矯正などでは改善することが難しいため、セラミック矯正などで歯の見た目を変える必要があります。
歯の傾斜によるもの
ほかにも、歯が内側に傾いていることによって歯列の幅が狭くなり、バッカルコリドーが大きくなっているケースも考えられます。
例えば、幼い頃に指しゃぶりの習慣があると、指を吸うときの圧で口まわりの筋肉が奥歯を内側に傾けさせてしまいます。
その結果、歯列弓が狭くなりバッカルコリドーが目立ちます。
バッカルコリドー以外にも笑顔の美しさの基準はさまざま
バッカルコリドー以外にも、口元の美しさの基準はいくつかあります。
笑顔の印象をよくしたいと考えたら、バッカルコリドー以外にも次に挙げるような美しさの基準を参考にしてみるとよいでしょう。
歯の大きさ、形
前歯の大きさが左右対称で、上の歯が下の歯に2~3mm程度覆いかぶさっているのが理想的だといわれています。
歯の形がやや丸みを帯びていると、柔らかな印象を与え、角ばっているとイキイキとした印象になるでしょう。
歯並び
理想的な歯並びは、歯列にがたつきや隙間がなく、緩やかにU字になっていることや、上下の前歯の中心と顔の中心がそろっていること、奥歯を左右均等にかめることなどがあります。
見た目だけでなく、歯同士がきちんとかみ合っているかどうかもきれいな歯並びの条件です。
Eライン
Eラインは横顔の美しさを表す指標の一つで、エステティックラインとも呼ばれます。
鼻先と下顎の先を結んだ直線のことで、横顔を見たときに口元が直線の内側に少しだけ入っているのが、美しいEラインとされています。
定規などを鼻先から下顎にかけて当ててみると、簡単にEラインをチェックできるでしょう。
出っ歯や受け口などで、理想的なEラインに当てはまらないという場合は、歯列矯正で治療できることがあります。しかし、歯並びには問題がなく、鼻の高さや唇の厚さなどが影響しているケースもあります。
そのようなケースでは、美容整形の施術を行うことで改善する場合があるでしょう。
歯茎の状態
笑顔の印象は歯茎の状態によっても左右されます。
笑ったときに歯茎が1~2mm程度見えるのが理想とされています。
3mm以上歯茎が見えることをガミースマイルといい、治療には歯列矯正や外科手術などが必要となるケースもあるでしょう。
また、健康的に歯茎が引き締まっており、淡いピンク色をしていることも笑顔を引き立たせるためには重要です。
歯周病になると歯茎に炎症が起こったり、歯茎が後退し歯と歯茎の隙間が目立ったりすることがあります。
理想のバッカルコリドーに近づける方法とは?
バッカルコリドーの治療には大きく分けると「矯正歯科治療」と「セラミック治療」の2つがあります。
矯正歯科治療
歯の位置や傾きなどを変える治療方法のことをまとめて矯正歯科治療と呼び、代表的な装置には「ワイヤー矯正」や「マウスピース矯正」などがあります。
矯正歯科治療によって歯列を頬側(側方)に拡大して、バッカルコリドーを目立ちにくくさせる効果が期待できるのです。
矯正歯科治療を行うことのメリットには以下のようなものが挙げられます。
・天然の歯を大きく削らなくて済む
・かみ合わせも含む治療ができる可能性が高い
・歯を長く使える可能性が高い
矯正歯科治療では、歯を大きく削ることはなく、ご自身の歯をそのまま使って歯並びをきれいにします。
歯を残すことで、歯がもろくなったり虫歯になりやすくなったりするリスクを抑えられるので、将来的に歯を長く使用できる可能性が高まります。
また、歯列矯正は見た目だけでなく、歯の機能改善の目的もあります。
しっかり食べ物がかめるように、かみ合わせを含む治療ができる点も魅力でしょう。かみ合わせが改善されると、肩こりや頭痛などの症状の緩和も期待できます。
一方で、デメリットには以下のようなものが挙げられます。
・治療期間が長い
・矯正装置を付ける必要がある
・歯が元の位置に戻ることがある
歯列矯正には平均的に1~3年程度の治療期間がかかります。
矯正治療中は1日のほとんどもしくはずっと矯正装置を付けて過ごさなければいけません。
使用する装置によっては目立ったり、装置の違和感や痛みなどを感じたりすることもあります。
また、歯の位置を動かすと歯には「後戻り」と呼ばれる働きが起こり、整えた歯並びが再び乱れてしまうおそれもあります。
ただし、後戻りは保定装置(リテーナー)を使うことで最小限に抑えられます。
歯列矯正をする場合は、歯を動かした後、保定装置を付けて過ごす「保定期間」も必要となることを覚えておいてください。
次は矯正歯科治療の装置の違いについて解説します。
ワイヤー矯正
矯正歯科治療の中でも歴史があり、多くの歯科医院で行われているのが「ワイヤー矯正」です。
歯列矯正といえば、ワイヤー矯正を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる装置を歯の表面に接着剤で取り付け、そこへワイヤーを通して歯を動かしていく方法です。
症例数が多く、あらゆる歯並びのお悩みに対応できる点が魅力です。
ワイヤー矯正は装置が目立ちやすいというデメリットがありますが、最近では歯の裏側にワイヤーやブラケットを取り付けるワイヤー裏側矯正もあります。
裏側矯正だと装置がほぼ見えないため、見た目を気にされる方でも挑戦できるでしょう。
ただし、舌の動きが制限されやすく、滑舌に影響が出たり、違和感を覚えたりすることもあります。
ワイヤー矯正の費用相場は表側矯正だと60~100万円程度、裏側矯正の場合で100~150万円程度です。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを使った矯正方法のことで、ワイヤー矯正と大きく違う点は着脱可能なことです。
マウスピースを外して食事と歯磨きを行えるので、これまでどおり食事を楽しみたい方や、虫歯や歯周病のリスクを抑えたい方に人気の方法です。
ワイヤー矯正に比べると対応できる症例が少なく、マウスピースブランドによっては前歯のみの見た目改善を目的としているものもあります。
バッカルコリドーの改善には向かないケースもあるので、適応となるかは歯科医師の診断が必要です。
また、マウスピースを外している間は歯が動かないため、治療を計画どおりに進めるためには、装着時間をきちんと守らなければいけません。
マウスピース矯正の費用相場は60~90万円程度ですが、マウスピースブランドによって、治療範囲や費用などは異なります。
例えば、マウスピース矯正ブランドのゼニュムの場合、以下のような料金プランをご用意しています。
プラン名 |
ゼニュムクリア |
ゼニュムクリア・プラス |
ゼニュムクリア・プラス+ |
対応できる症例 |
軽中度の症例に対応 |
重度の症例に対応 |
複雑な症例に対応 |
平均治療期間 |
約6カ月程度 |
約10カ月程度 |
約15カ月程度 |
費用 |
324,500円(税込) |
575,000円(税込) |
660,000円(税込) |
マウスピース枚数 |
最大20枚まで |
最大30枚まで |
最大45枚まで |
治療対象 |
上下合計最大20本の歯 |
上下すべての歯が治療対象 |
上下すべての歯が治療対象 |
(※精密検査代(おおよそ税込22,000~33,000円※クリニックにより異なる)、追加精密検査代、リテーナー費用は固定料金に含まれません。)
マウスピース矯正でのバッカルコリドー治療が可能かどうか、またどのプランが適しているかは歯科医師の診断が必要となります。
ゼニュムでは無料オンライン診断を実施していますので、マウスピース矯正で歯並びを改善したいご希望のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
ゼニュムのマウスピース矯正は通院回数も3カ月に1回程度と少なめなので「忙しくて通えるかどうか不安」「何度も通院するのが面倒」という方でも挑戦しやすいです。
セラミック治療
セラミック治療とは、ご自身の歯を大きく削り、上から人工の歯をかぶせて見た目を改善する治療法です。
歯の大きさや傾斜角度をかぶせ物によって変化させることで、バッカルコリドーを小さく見せる効果が期待できます。
セラミック治療のメリットは以下のとおりです。
・歯の形や大きさ、色などを変えられる
・治療期間が短い
・後戻りの心配がない
矯正歯科治療では歯の位置を動かすことはできても、歯一本一本の形や大きさ、色を変えることはできません。
しかし、セラミック治療の場合は上からセラミックなどの素材でできた人工歯をかぶせるので、歯のサイズを大きくすることはもちろん、希望の白さまで歯を明るくできます。
また、治療期間も短いことがメリットで、一般的に2カ月程度で治療が完了します。
歯の位置を動かすわけではないので、後戻りの心配もありません。
反対に、セラミック治療のデメリットはこちらです。
・健康な歯を大きく削らなければいけない
・セラミックが割れることがある
・メンテナンスが必要
・根本的な解決にはならないことがある
セラミックなどの人工歯をかぶせるためにはある程度の厚みが必要となるため、ご自身の歯を大きく削ります。歯の大部分を失った歯は、健康な歯に比べて虫歯になりやすく、虫歯などのトラブルが起こると再度、セラミック治療がやり直しになることもあります。
また、セラミックは咀嚼などの日常生活でかかる力には十分耐えられる素材ではありますが、強い衝撃が加わるとお皿のようにパリンと割れてしまうことがあります。
永久に使うことは難しく、大体10~15年程度で交換する人が多いでしょう。長く使用するためには3~6カ月に1回程度の定期メンテナンスが欠かせません。
セラミックは見た目だけを改善する治療のため、かみ合わせの改善を目的とする場合には向きません。
バッカルコリドーのお悩みは歯科医院で相談してみよう
バッカルコリドーは笑顔の印象を左右する要素の一つです。
バッカルコリドーを小さくして、笑顔の印象を華やかにしたいという方は、歯列矯正やセラミック治療などの選択肢があります。
どちらの方法もメリットとデメリットの両方があり、どの方法が向いているかは患者様の性格やライフスタイル、歯並びの状態によって異なります。
バッカルコリドーについてお悩みの方や理想の歯並びがある方は、一度歯科医院のカウンセリングやゼニュムの無料オンライン診断でご相談ください。